2011年3月11日に発生した東日本大震災は、災害大国日本に住むすべての人に衝撃をあたえました。
そして、今後起こりえる巨大地震や大規模災害に対する取り組みを再度考えさせられる未曾有の大災害でした。

1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災をきっかけに国内における企業や消防などは、それまでに考えていた災害対策を見直す必要性に迫られ、
企業においては実際に被災したイメージを元に本当に必要なアイテムと数量を検討し、
消防では同時多発的に発生する事故現場や災害現場を優先して対処する方針に切り替え、
無事な方々は最低でも3日分程度の備蓄を用意し、ある程度自助の力で乗り切る対応力の強化を求めました。

その約20年後に発生した我々の想像を遥かに上回る規模の被害を出した東日本大震災。
改めて自然災害の脅威を痛感させられるもので、阪神・淡路大震災以降、南海地震や東南海地震、首都直下型地震など、
様々な大規模地震の被害想定などが出され、対策の強化などに追われている最中に発生した想定外の大規模災害でした。
また、東日本大震災は、首都圏に約515万人の帰宅困難者を発生させ、首都圏直下型地震における帰宅困難者対策強化の必要性を顕在化させました。
地震発生時の
居場所
3月11日の
帰宅困難者数
外出者人口に
帰宅困難者が
占める割合
東京都 352万人 40%
神奈川県 67万人 20%
千葉県 52万人 24%
埼玉県 33万人 14%
茨城県南部 10万人 16%
合 計 515万人 30%
そのような背景の中、東京都では『東京都帰宅困難者対策条例』が制定され、努力義務とは言え2013年4月から施行されることが決まりました。
首都直下型地震が発生した場合の建物被害・人的被害及び経済被害は
1) 建物被害:建物全壊・火災焼失 約850,000
2) 人的被害:死者数 約11,000
3) 経済被害:約112兆
*内閣府防災情報ページより抜粋
上記被害想定時における避難者・帰宅困難者数は約650万人と想定されています。

東京都では、徒歩帰宅可能でも二次災害の影響により死者・負傷者数を増やす可能性があり、
企業に対して『帰宅させず最低でも3日分の食料や水などを備蓄して会社に留まらせる』よう求めています。
そのために、制定された条例が『東京都帰宅困難者対策条例』に結びついています。
企業などに求めている具体的な取り組みとしては以下のとおりです
従業員の一斉帰宅の抑制
従業員の連絡手段確保などの事前準備
駅など公共施設における利用者の保護
生徒・児童等の安全確保
しかし、企業に勤めている人などが徒歩帰宅を選択する理由は交通網が麻痺したからではありません。
最大の理由は、『家族の安否が気になる』からなのです。
下表のように、首都直下地震が発生し、もし交通機関が停止してしまった場合の帰宅行動について調査した結果、
「家族の安否が確認できても、すぐに自宅へ徒歩で帰宅しようと思う」が約3割を占め最も多く、
「家族の安否が確認できなければ、すぐにでも自宅に徒歩で帰宅しようと思う」と合わせると約半数の人が徒歩で帰宅行動をとると回答しています。
企業としても、社員を強制的に会社に留めることはできません。
そのため、企業として行わなければならないのが、『家族との連絡手段を確保すること』、または『安全に徒歩帰宅ができる手段を確保すること』です。
また、帰宅支援時に必要なものの整備をするだけではなく、帰宅途上の混乱を防止する一斉帰宅の抑制など運用上の課題を検討することが、
企業としての社会的努めとなるでしょう。

東日本大震災時に徒歩帰宅を経験した方々へのアンケートでは、多くの方が「歩きやすい靴が必要」と回答しています。
今後の災害対策として、企業においては『3日間程度留まる最低限の必需品対策』に加え、
『社員を無事に帰宅させる必需品対策』についても備える必要があるのではないでしょうか。

参考サイト : 内閣府 [首都直下地震帰宅困難者等対策協議会] http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/taisaku_syuto/kitaku/kitaku_kyougi_top.html